2024年11月上旬 国内外の蕎麦産地情報
国産玄蕎麦
令和6年産北海道産蕎麦は、道内でも播種時期や地域によって収穫状況に差が出ております。主産地である上川・空知地方では継続的な雨や暑さによる影響から、実付きが悪く反収が上がらず収量減と報告されております。特に播種時期の早い蕎麦は、雨による影響から収量が伸び悩みました。
尚、道南や道東並びに十勝地方は、上川地方程被害はないと報告されております。
東北は、現在収穫作業が行われておりますが、8月の継続的な雨や、局地的大雨による影響が懸念されております。秋田では9月の集中豪雨により蕎麦の倒伏が報告されております。東北においても生育状況は播種時期や地域・圃場差が大きい状況となっております。
北関東では播種時期にあたる8月に大雨や台風10号等の影響から播種作業に遅れや蒔き直し等が報告され、例年より収穫が遅れております。
福井並びに九州地区においては台風などの被害もなく概ね順調に推移していると推測されます。
中国産玄蕎麦
2024年産中国産蕎麦の主産地内蒙古東部赤峰地区では、5月末から6月上旬にかけて順調に降雨があり、政府補助金対象の大豆、トウモロコシ、高粱等が多く撒かれ、大幅に減少した昨年同等に栽培面積が減少しております。又、継続的な雨から実付きが悪く収量減が予想されます。
内蒙古西部地区は、干ばつにより菜種の代わりに蕎麦を撒きなおし播種面積が増えていると推測されていましたが、収穫時期の継続的な雨により収穫が遅れ、反収減が予想されています。
西北部でも、トウモロコシ、ジャガイモ、ヒマワリ等の面積が増えており、蕎麦の播種面積は減少しております。又、天候被害から昨年より減収が予想されます。
2024年産中国産蕎麦は、農民が高収入となる経済作物を積極的に栽培したい意向と、天候被害の影響から作付面積、収量共に減少傾向です。
2024年産もロシアから安価な蕎麦の輸入が予想されており、価格は下落傾向にあります。半面中国産については投機目的の買い占めや農民の売り惜しみがあり、今後の動向を注視しております。
ロシア産玄蕎麦
2024年産ロシア産蕎麦の播種面積について暫定予測値が公表されました。
現時点でのロシア全体の暫定値は1,092,200 ha(23年産1,286,255 ha)、主産地アルタイ地方は現時点で暫定値611,800 ha(23年産720,302 ha)と記録的な播種面積と収穫量だった2023年産よりは減少しております。
主産地であるアルタイ地方ではオーツや大麦、小麦の収穫期である8月に雨が多く、収穫作業に遅れが出ておりました。その後に行われる蕎麦の収穫作業にも遅れが出ておりましたが、9月中旬以降は順調に蕎麦の収穫作業が進みました。
収量については現時点での暫定数量ですがロシア全体で約111万tと報告がありました。今後もデータは更新されると思われます。
ロシアから中国への輸出量はウクライナ戦争以降ロシア玄蕎麦は中国以外行き場がなく安価に買い取られ、中国向け輸出量が2023年は 124,000t、2024年は1月~9月迄で194,000tと飛躍的に増加しております。
尚、11月よりロシア国内からのソバ輸出関税が5%から7%に引き上げられました。
また、ウクライナ戦争以前はヨーロッパへカーシャが輸出されておりましたが、現在は全く輸出されておらず、カーシャの販売不振となっております。
アメリカ産玄蕎麦
2024年産アメリカ産玄蕎麦の産地ワシントン州では7月上旬に蕎麦の播種作業が開始され、天候にも恵まれ順調な生育状況です。8月上旬に山火事による煙害が心配されましたが、作物には影響ありませんでした。気温も例年通り安定しており、10月上旬から刈り倒しが始まりました。作柄的にも今年は良好との報告が入っております。例年通り11月下旬から12月上旬には国内搬入が予定されております。
モンゴル産玄蕎麦
2024年産モンゴル産玄蕎麦は昨年と同等な播種面積程度と推測されます。例年通り6月上旬に播種を開始、9月初旬から刈り倒し収穫し、10月迄に収穫。年明け頃には日本に入荷するもようです。