市況

2024年12月下旬 国内外の蕎麦産地情報

 

 

国産玄蕎麦

 

 令和6年産北海道産蕎麦は、道内でも播種時期や地域によって収穫状況に差が出ております。主産地である上川・空知地方では継続的な雨や暑さによる影響から、実付きが悪く反収が上がらず収量減の地域があると報告されております。特に播種時期の早い蕎麦は、雨による影響から収量が伸び悩みました。

尚、道南や道東においては上川地方程被害はなく、又、十勝地方は、平年並みの反収と推測されます。

 

 東北は、8月の継続的な雨や、局地的大雨により倒伏する圃場が見られる等、天候不良の影響が懸念されておりましたが、被害は一部地域に限定され、不作であった昨年よりも反収は良く、平年作に近い収量が推定されております。

 北関東、茨城・栃木では播種時期の8月に大雨や台風10号等の影響から播種作業の遅れや種が流される等の被害があり、反収減が報告されております。

 北陸・福井は高温障害等の影響がある地域と、順調な地域との圃場差が見られたが、収穫量としては概ね平年並み近くの収量と推測されます。

 九州では播種時期に線状降水帯が発生する大雨により被害が発生、反収減が推測されております。

 

 全体状況としては、昨年同様地域により大雨等の天候被害があり、収穫量の地域差・圃場差が出ております。又、高値がついた米の作業が優先されており、例年に比べて蕎麦の出荷の遅れ、収量の把握に時間が掛かっております。

 

中国産玄蕎麦

 

 2024年産中国産蕎麦の主産地内蒙古東部赤峰地区では、5月末から6月上旬にかけて順調に降雨があり政府補助金対象の大豆、トウモロコシ、高粱等が多く撒かれ、昨年同様大幅に栽培面積が減少しております。又、継続的な雨により実付きが悪く反収も減収となり、収穫量は2~3万t程と推測されております。

 内蒙古西部地区は、干ばつの影響から菜種の代わりに蕎麦を撒きなおし播種面積が増えていると推測されましたが、収穫時期に継続的な降雨となり例年以上に収穫が遅れ収量が伸び悩み、収穫量は3万~4万t程度と推測されております。

 西北部でも、トウモロコシ、ジャガイモ、ヒマワリ等の面積が増えており、蕎麦の播種面積は減少しております。又、天候被害から昨年より減収が予想され収穫量は4万~5万t程度と推測されております。

 2024年産中国産蕎麦は、農民が蕎麦よりも高収入となる経済作物を積極的に栽培したい意向と、天候被害の影響から作付面積、収量共に減少傾向です。

 12月には安価な2024年産ロシア産蕎麦が中国に輸入されており、今後の輸入状況、及び今後の動向に注視しております。

 

ロシア産玄蕎麦

 

 2024年産ロシア産蕎麦の播種面積について暫定予測値が公表されました。

現時点でのロシア全体の暫定値は1,092,200 ha(23年産1,286,255 ha)、主産地アルタイ地方は現時点で暫定値611,800 ha(23年産720,302 ha)と記録的な播種面積と収穫量だった2023年産よりは減少しております。収量については現時点での暫定数量ですがロシア全体で約111万tと報告がありました。今後もデータの更新があると思われます。

 

 ロシアから中国への輸出量はウクライナ戦争以降、行き場の少ない玄蕎麦に対し中国からの引き合いが高く、中国向け輸出量が2023年は 124,000t、2024年は1月~11月迄で211,000tとなっており、過去最高だった2023年を上回る輸出量となっております。

尚、11月にロシアの蕎麦輸出関税が5%から7%に引き上げられましたが、年明けには再び関税が改訂される見通しです。

 

アメリカ産玄蕎麦

 

 2024年産アメリカ産玄蕎麦の産地ワシントン州では7月上旬に蕎麦の播種作業が開始されました。天候、気温にも恵まれ順調な生育状況で進み、10月上旬頃から刈り倒しが始まりました。作柄的にも2024年産は良好であり、随時国内搬入されております。

 

モンゴル産玄蕎麦

  

 2024年産モンゴル産玄蕎麦は昨年と同等程度な播種面積と推測されます。例年通り6月上旬に播種を開始、9月初旬から収穫に入り、年明け以降日本に入荷するもようです。